35_東京都東大和市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.35
申請日:2022年10月21日
申請/実施責任者:東大和市 市民環境部 環境対策課
場所:東京都東大和市
居住者:当事者本人(59歳、女性)、夫(58歳、会社員)、長女(31歳、パート)、次男(29歳、パート)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:52頭
手術日:2022年11月14日、24日、12月5日、19日、2023年1月16日、26日
協力病院:おおにし動物病院
チケット発行数:38枚(手術済み14頭を除く38頭分を申請)
手術頭数:27頭(手術前に1頭が死亡。10頭はチケットの有効期限内に手術できず)
協働ボランティア名:東大和にゃんこの里と東大和80catの仲間達

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 2000年に野良猫を1頭保護した。その後、友人が保護した猫を2頭を譲り受けたが、うち1頭がオスであったことから繁殖し、2003年ごろから頭数が増え始めた。
  2. 経済的な理由から全頭の不妊手術ができていなかったが、猫が病気で10数頭亡くなり頭数が減ったこともあり、一部に不妊手術をしていれば繁殖を防げると思っていた。猫の繁殖力を甘くみた結果、7~8年前から爆発的に頭数が増えた。
  3. その後、ケージに入れて繁殖防止を試みるもケージ管理が甘く増え続けている。
  4. 2022年9月30日に当事者の知人から環境対策課に相談が入る。「知人が10月3日に住居を立ち退きとなるが、40頭の猫がいるうえに頼れる親族がいない。生活福祉課にも相談しているがどうにかできないか」との内容。
  5. 生活福祉課に確認すると4人家族で猫20頭とのこと。この時点で本人からの相談がなかったため直接連絡ができず、また情報が不確実であったことから対応ができなかった。
  6. その後、10月3日に動物愛護センターから「不動産会社から相談があったが、本人の意向が確認できず愛護センターでも対応できない」と連絡あり。
  7. 10月12日、当事者から市内ボランティアに「住居を退去しなければならないが、猫の頭数が多いので搬送を手伝ってほしい」と連絡が入る。ボランティアが訪問したところ、ケージに入れられたままの53頭を発見。当事者に話を聞いたところ支援を依頼されたとのこと。
  8. 当事者からの支援要請がなく、収入があり親族も存在しているため、飼い主としての責任を果たしてもらうべきであるが、飼育環境や猫の状態を考えれば、行政も支援を行って一刻も早く対策を講じる必要があった。どうぶつ基金の支援を利用することで、より早期に問題解決を図れる可能性が高まると思い申請を決定。その後当事者に接触して情報収集を行ったうえで申請した。
  9. 手術対象は38頭だったが、残念ながら1頭が手術前に亡くなってしまった。27頭に手術を行ったが、10頭についてはチケットの有効期限内に完了できず未手術となった。未手術の10頭については2回目の申請を検討している。
  10. 52頭のうち27頭をボランティアが保護、1頭が譲渡された。当事者宅には未手術10頭を含む24頭が残っており、当事者が引き続き飼育する。
  11. 保護や譲渡によって当事者宅の飼育頭数が減少したことにより、部屋の整理や臭い発生防止措置など衛生環境の改善が進んでいる。長期間にわたる多頭飼育の影響で体調不良の猫が存在するものの、1頭あたりの飼育スペースが広くなり、敷いてある新聞紙をこまめに交換するなど、少しずつではあるが飼育環境の改善に取り組んでいる。
  12. 当事者は今後も数頭を継続して飼育したいと希望しているが、できる限り飼育頭数を減らすことが望ましく、ボランティアとともに譲渡先探しを継続する。当事者には、飼育に適した清潔な環境を維持し、これ以上頭数を増やさないことを確認している。

※東大和市2回目レポートはこちら

手術日オスメス耳カットのみ
11月14日0505
11月24日1102
12月5日1405
12月19日5005
1月16日1405
1月26日3205
1116027

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
限られた時間や人員のなか、市とボランティア団体が協力して対応することができました。また、今回の支援によって、緊急性の高い猫への対応や当事者への指導が早期に実施でき、被害を最小限に抑えることができたと考えております。
しかし、チケットの有効期限内に対象の猫の手術が完了しなかったことや、手術後の猫の保護・譲渡に向けた活動を今後も継続しなければならない状況であることから自己評価は60点とします。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者や友人が保護した猫3頭が始まりでした。頭数が増え始めたのは2003年頃とのことですから、そこから20年以上にわたって多頭飼育状態が続いていたことになります。
当事者もその友人も保護した時点では「可哀想な猫を助けてあげたい」という気持ちしかなかったと思います。目の前の命が救われる、これほど素晴らしいことはありません。しかしながら、その猫たちが保護されるような状況になった理由を考えてほしかったとやはり思ってしまうのです。結果、当事者は多くの「保護されなければならない命」を生み出してしまいました。
当事者自身に積極的に解決する意思が見られないことも大きな気がかりです。まして、当事者の元には未手術の猫10頭が残っています。この10頭については、手術後の受入状況等を考慮して手術のタイミングを見ているようですが、その間にあっという間に元の状態に戻ることもあります。当事者宅で飼育している状況だからこそ10頭の手術を急ぐ必要があり、担当行政にはその旨申し入れを行っています。


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