19_宮城県大崎保健所多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.19
申請日:2023年6月12日
申請/実施責任者:宮城県大崎保健所
場所:宮城県大崎市
居住者:当事者本人(58歳、女、パート)、同居人(58歳、女、パート)
居住環境:家はなく、車の中で生活している。車を止めている場所は、当事者の兄(67歳、無職)の庭。
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:32頭
手術日:2023年7月7日、14日、20日
協力病院:フォルテ動物病院
チケット発行数:27枚(子猫5頭を除く27頭で申請)
手術頭数:14頭(残り13頭については、7頭が行方不明、6頭は当事者が拒否したため手術できず)
協働ボランティア:なし
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 20年程前から数頭の野良猫を保護したり餌をやっていた。これまで多くなった経緯はあるが、農地が多い住宅地のためキツネやカラスに食べられたり、交通事故等にあい増減をしていた。
- 5年前は5頭まで減少したが、1頭のメス猫が次々に出産し3~4年程前から増えていった。
- 近隣住民から、猫が多数おり庭に糞尿をして荒らすので困るとの情報提供、相談により多頭飼育が発覚した。申請までに、不妊手術を実施し猫の飼育環境を改善するよう指導した。
- 当事者本人で不妊手術の費用が捻出できず、キャリーケースに閉じ込めている猫7頭(外飼いの猫25頭がいる)について、朝晩、車の中で1時間遊ばせているが、日中はキャリーケースにいる為、劣悪な環境である。早急に手術をし猫の為の小屋を改善し、広い環境で飼育できるようにする必要があると考え申請に至った。
- 全頭を複数回分けて運搬するのが難しい為、当初はメス13頭のみの申請だったが、全頭手術が原則なので全頭手術に切り替え。その時点で報告によると現場の猫は32頭。うち子猫5頭5頭は保健所が引き取り里親を探す予定だったので除外し27頭の申請となった。
- 子猫5頭は保健所が引き取り予定だったが、キツネやカラスに食べられていなくなり、引き取りができなかった。
- 27頭の手術予定だったが、暑さや環境が悪い中で体調不良になる猫が多数いた為、暑い時期に手術をすることを当事者が拒否、また行方不明になった猫も7頭おり、6頭が未手術となり、チケットを使用して14頭の手術となった。
- 手術した14頭は当事者の元へ戻ったが、内1頭は術後1週間目くらいに体調を崩し、死亡した。また申請後、報告までに未手術のメス猫が出産し新たに子猫4頭が生まれてしまった。未手術の6頭と新たに生まれた子猫については9月末くらいに涼しくなったら、2度目の多頭飼育の申請を検討している。
- 支援後は小屋の中で放せるように改修したが、例年にない暑さで、小屋の中で放せていない状況。暑い時は、ケージを木陰の場所に移動させた。外にいる猫のために、庭を耕し、トイレにした。猫の状態に大きな変化はなし。涼しくなったら放す予定。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
7月7日 | 3 | 2 | 0 | 5 |
7月14日 | 2 | 3 | 0 | 5 |
7月20日 | 3 | 1 | 0 | 4 |
計 | 8 | 6 | 0 | 14 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
小屋の中の猫は、手術することができ、今後小屋の中で放して飼養する事ができる環境も作る事が出来た。外にいる猫は、まだメスも残っているが、酷暑だった為、当事者が手術をすることを拒否し、手術を行うことができなかった。
どうぶつ基金スタッフコメント
なんとも理解しがたい状況です。本件は明らかに動愛法違反(ネグレクト等)であり、全頭手術が必要な事案です。小さなキャリーケースに閉じ込められ1時間ほどしか外に出してもらえない、それも車の中という範囲で。劣悪な飼養状況といえるでしょう。必要な世話を怠る、ケガや病気の治療をせずに放置する、充分な餌や水を与えないなど、本件をはじめとする多頭飼育崩壊現場で起きている「ネグレクト」は立派な虐待行為です。体調が悪いから手術を拒否するならそれ以前にその体調悪化の理由の原因をしっかりと認識していただきたいです。行政の報告にもあるように、今後も飼育環境のさらなる改善が求められます。行政による指導や見守りを継続していく必要があると考えます。