15_福岡県福津市多頭飼育救済支援レポート(行政枠）

申請No.15
申請日：2023年5月18日
申請/実施責任者：福津市　うみがめ課
場所：福岡県　福津市
居住者：当事者本人（52歳、女、無職）
居住環境：持ち家/戸建て
生活保護の受給状況：受給している
多頭飼育現場の猫の総数：40頭
手術日：6月6日、6月24日
協力病院：cat spot clinic
チケット発行数：14枚（26頭はすでに手術済み）
手術頭数：14頭
協働ボランティア：猫糸舎

申請から不妊手術完了までの経緯（報告書より）

2015年当時、同居していた当事者の父が猫5頭を飼育していた。
1頭の猫が4～5頭の子猫を産んだ。その後、オス猫に不妊手術をし、頭数が増えないように努めてきたが、2018年に1頭のオス猫を保護。その猫が人に懐かないため手術ができず、室内で放し飼いをしていたところ、未手術のメス猫が子猫を産み18頭になる。その後も数頭に不妊手術をし、頭数が増えないように努めようとしたが手がつけられず53頭まで増えてしまった。
当事者の親族が4年ほど前から当事者と連絡を取っており、当事者からは問題ないと返事があった。しかし、2023年の春に連絡したところ生活がひっ迫していると返事があったため親族が当事者宅を訪問。そこで多頭飼育崩壊が発覚し市へ相談した。
市への相談とあわせて立花高校「命のつなぎ方」にも相談したところ、ボランティア団体が早急に対応し、部屋の清掃と猫の保護を行った。申請時点で当事者宅にいる猫の総数は40頭であった。
市が状況を把握する前にボランティア団体が一部の猫を保護していたが、ボランティア団体だけでは多頭飼育現場にいる全頭の不妊手術等を実施できないことから、当事者の親族・ボランティア団体から相談があり、申請に至った。
チケットにより14頭に不妊手術を行い、全40頭が手術済みとなった。支援後に4頭が譲渡され、5頭はボランティア団体が保護。これまでに27頭が保護、10頭が譲渡（うち1頭は残念ながら譲渡先で死亡）、1頭が亡くなり、現場には15頭の猫が残っている。いずれは現在の家から当事者とともに引っ越す予定で、当事者は転居先でも猫を世話しつつ、里親を探し続ける。
支援前は清掃がされておらず、臭いがひどい室内で放し飼いをされていたが、部屋も清掃され、猫もケージ内で飼われるようになった。支援後は、1つのケージに1～２頭ずつ入っており、ケージから出せる猫は数頭ずつ交代で室内に出している状況となり、猫の状態を常に確認できるようになった。トイレや餌についても毎日交換することができているため、臭いもストレスも軽減された。

手術日	オス	メス	耳カットのみ	計
6月6日	12	1	0	13
6月24日	0	1	0	1
計	12	2	0	14

【現場写真（支援前）】

【現場写真（支援後）】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項（報告書より）
今回、当事者宅にいた全ての猫へ不妊手術を行うことができ、問題の解決に大きく前進したと考えている。このような結果になったのは、ボランティアの方々が「早急に」「積極的に」動いてくれたことが非常に大きいと感じている。市が多頭飼育崩壊支援申請をした際にはすでににボランティアが関わっており、不妊手術や診察のために病院へ運ばれていく猫が多数いる状況であった。それだけ切迫した現場であり、全ての命を救うことは叶わなかったが、ボランティアの献身的な活動によって多くの命が救われたことを実感している。
足の踏み場もなく臭いも酷い状況だった部屋が支援後には臭いも軽減されてきれいになり、ボランティアによる猫の里親探しも続いている。当事者も世話をしつつ里親探しをしている状況であり、現在の状況は改善に向かっているとても良い状況であると考えている。
ボランティアがいなければ今回のような結果にならなかったと考えており、関わってくれたボランティアの皆様には感謝してもしきれない。

どうぶつ基金スタッフコメント
本件については、申請前から多くのボランティアが関わり、解決に向けて尽力しておられたことから、不妊手術の部分での支援があれば一気に解決に向かう案件であったと感じています。2頭が亡くなってしまったことは残念でしたが、申請時に40頭いた猫たちは譲渡や保護等によって15頭にまで減りました。当事者は、多くの方が関わった今回の支援を無駄にせず、人も猫も最良のかたちとなるよう、飼い主としての責任を最後まで果たしてほしいと思います。

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