58_兵庫県川西市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.58
申請日:2023年11月6日
申請/実施責任者:川西市 美化衛生部 衛生管理課
場所:兵庫県川西市
居住者:当事者本人(60歳、女、無職)、母(90歳、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:30頭
手術日:11月26日、12月4日、12月10日、12月13日、12月18日
協力病院:北摂TNRサポート のらねこさんの手術室
チケット発行数:30枚
手術頭数:30頭
協働ボランティア:川西TNR地域ねこの会

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 約10年前、当事者が父母が住む市営住宅に2頭の猫を連れて同居したのがきっかけ。不妊手術をしていなかったことから、その後、頭数が増えた。
  2. 時期は不明だが、当事者の父が施設に入所し、当事者の母(認知症)と当事者本人の2人暮らしとなった。当事者は適切な飼育ができないばかりか自身の身辺整理もできない状態であり、当事者の母も判断能力が難しいまま生活を送っていた。この間、室内で猫を放し飼いにしており、糞尿の処理等の飼育は放棄されていた。近隣にも糞尿の匂いが漏れていたが、誰も具体的な指摘はせず、ケアマネージャー、ヘルパーも当事者の母の限られた生活スペースのみでの活動となり、住居奥で放し飼いされていた猫について触れることはなく放置された。
  3. 施設入所が決まった当事者の母のケアマネージャーより市営住宅の管理者へ連絡があり発覚し、ボランティア団体から市への協力要請により多頭飼育が発覚。
  4. 当事者はその後、事情により飼育不可の状態となってしまった。親族が当事者に聞き取ったところ「猫の面倒は見られない」「不妊手術はしてほしい」「飼い続けることはできない」旨を確認したため、ボランティア団体の要請により申請に至る。
  5. 当初25頭で申請していたが、申請後にボランティア団体が捕獲前の餌やり等を行った際、布団や家具に隠れていた猫が新たに発見されるなどして総数が30頭であることが判明した。
  6. チケットは30枚で発行され全30頭に不妊手術を行ったが、うち1頭が手術後に衰弱して亡くなった。当事者は事情により家を離れ(のちに親族宅へ転居)当事者の母も施設への入所が決まったため市営住宅を引き払った。残った29頭はボランティア団体によって保護された。
  7. 保護された猫29頭は、廃止された市営住宅の1室が確保され、ボランティア団体が飼養を継続しているが引き続き里親探しを行っていく。トイレは29頭に対して6カ所設置。12畳ほどのスペースにキャットタワー等を設置するなどして、十分な運動スペースが確保されている。頭数が多いため、個別のケージを使用せず2部屋を開放し飼育している。
  8. 餌を十分に与えられ、不衛生な環境から脱したためストレスが軽減された。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月26日 13 11 0 24
12月4日 1 1 0 2
12月10日 0 1 0 1
12月13日 0 1 0 1
12月18日 1 1 0 2
15 15 0 30

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
概ね捕獲から手術までスムーズに行えた。また、当事者と連絡を取ることが難しい状況のなか、親族とボランティア団体が連絡をとり方針の決定を行えた。術後の猫の飼育スペースは、廃止されている市営住宅の1室を確保し、長期にわたって里親探しを継続できる環境を確保できた。


どうぶつ基金スタッフコメント
支援後の写真を見るとほっとします。手術後の猫は当事者の手を離れ、ボランティア団体が全頭保護しました。譲渡先探しは長期にわたることが予想されますが、衛生的な環境でしっかりとお世話をされている様子が分かります。1頭でも多くの猫が新たな家族のもとで再出発できることを願わずにいられません。
本件については、もっと早い段階で介入できていたのではないかと思われます。近隣にも糞尿の臭いがもれている状況で当事者宅内に福祉関係者が出入りしていたのであれば、必ずその異変に気が付いていたはずです。福祉関係者は自宅内に立ち入ることが多いため、多頭飼育崩壊発見のきっかけとなることが少なくなりません。その情報をどの機関と共有しどのように連携を図っていくのか。行政には多頭飼育崩壊の予防・早期発見に向けて、情報連携の流れを確立していただきたいと思います。


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