70_茨木県桜川市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.70
申請日:2024年1月23日
申請/実施責任者:桜川市 市民生活部生活環境課
場所:茨木県 桜川市
居住者:当事者本人(82歳、男、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):4頭(0頭)
手術日:2月20日、3月12日、3月27日
協力病院:茨城さくらねこクリニック
チケット発行数:4枚
手術頭数:4頭
協働ボランティア:個人ボランティア

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 5~6年前、自宅隣にある地区集会所に捨てられていたオス猫2頭を保護した。
  2. 保護したオス猫2頭に不妊手術をせず、室内外を自由に行き来できる状態で飼育していたことから頭数が増えてしまった。
  3. 2023年10月、近隣住民から市の生活環境課に「当事者の家の玄関先に子猫2頭の死骸が放置されている。当事者による猫の飼育方法が適切ではない」と通報が入り、現場を確認したところ多頭飼育であることが発覚した。
  4. 当事者は耳がほとんど聞こえず目も悪い。単身高齢世帯であり、担当ケアマネージャーの紹介で特別養護老人ホームに週1回通っている。当事者宅は猫の尿によるアンモニア臭が酷く、糞もところどころに転がっている状況。
  5. 猫は、庭に放置された藻が生えた容器に溜まった水を飲んでおり、菓子類や麺類など栄養価が低いものを与えられているため痩せており、うち2頭の猫については風邪の症状があり外傷もみられた。外傷の程度は、1頭は片耳の皮がはがれ、片目の眼球委縮、さらに片前足に膿が溜まり酷く腫れていた。もう1頭は脇腹の毛皮の1部がはがれていた。このままでは命の危険性も考えられたため、動物愛護推進員と協力してこの2頭を保護し、動物病院に搬送した。
  6. 以上のことから、当事者は猫の飼育が適切にできていないことは明らかである。金銭的余裕もなく、動物病院までの移動手段も持ち合わせていないため、不妊手術の支援が必要と判断。2頭はすでに保護されていたため、残る4頭で申請を行った。
  7. 4頭すべて手術済みとなり当事者宅に戻されたが、手術後に1頭が行方不明となってしまった。協働した個人ボラティアが当事者の経済状況から3頭の飼育継続は困難と判断し、当事者の了解を得て2頭を保護。残る1頭は不妊手術時に直近で出産した痕跡が獣医師によって確認されたことから、当事者宅で引き続き飼育することとなった。
  8. 支援前に保護された2頭のうち、1頭は病気の症状が改善しすでに手術済み。もう1頭は子猫だったが、保護時の健康状態から動物病院に緊急搬送して入院治療を行った。体調回復後も当該病院で過ごし、すでに不妊手術を終え、譲渡先が決まり次第譲渡予定となっている。
  9. 支援時に部屋や廊下を掃除して、溜まっていた大量の糞の除去やゴキブリを駆除することができ。また、トイレを設置したことにより衛生面が改善され、家の中の便臭・アンモニア臭が和らいだ。
  10. 2023年11月から、個人ボランティアの協力で当事者に猫の餌が定期的に提供されていることから、当事者宅に残った1頭には十分に餌が与えられ、健康状態も改善がみられる。
手術日 オス メス 耳カットのみ
2月20日 0 2 0 2
3月12日 1 0 0 1
3月17日 1 0 0 1
2 2 0 4

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
チケットの使用期限内に全頭不妊手術を実施することができました。
反省点としては、初めて多頭飼育崩壊現場を担当したこともあり、右往左往する場面も多く、個人ボランティアの協力なしでは今回の支援は達成できなかったと思います。
また、早期対応できなかったことにより、手術前に1頭が出産してしまいましたが、子猫がどこにいるのか確認できていません。子猫が生存していることを願い、今後も定期的に当事者宅を訪問して継続的に指導していきます。


どうぶつ基金スタッフコメント
支援時には4頭でしたが、当初は6頭の猫がいました。経緯を見るかぎり、とても動物を飼育できるような環境ではなかったと感じます。発覚のきっかけは近隣住民からの通報でしたが、通報以前に福祉関係者は当事者宅に出入りしていなかったのかが気になります。もし、臭いや鳴き声などの違和感を感じている福祉関係者の方がいれば、躊躇せずに動物愛護管理部局につないでほしいと思います。
本件については、手術前に1頭の猫が出産したであろうことが手術時に判明しています。早急に母猫を現場に戻したものの、今も子猫の居場所は不明とのことです。当事者が猫の状況をもっと把握できていれば…と悔しい思いがありますが、通報の内容にもあるように、現場は子猫の死骸が放置されているような状況でした。このような悲劇と地獄が繰り返されないよう、当事者への指導を継続するとともに、今後の対策や予防策なども検討をお願いしたいところです。


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