29_埼玉県伊奈町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.29
申請日:2023年7月13日
申請/実施責任者:伊奈町 環境対策課
場所:埼玉県北足立郡伊奈町
居住者:当事者本人(63歳、男、自営業)、配偶者(57歳、女、自営の手伝い)、次男(26歳、自営業)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:57頭(49頭で申請するも最終的に57頭となった)
手術日:2023年8月14日、8月24日、9月1日、9月4日、9月8日、9月11日、9月14日、9月25日、9月28日、9月29日
協力病院:堀どうぶつ病院
チケット発行数:39枚(申請時49頭のうち手術済み10頭を除く39頭で申請)
手術頭数:35頭(4頭はボランティア団体の費用負担により手術済み)
協働ボランティア:WARAINA なごの家
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 13年前、事務所にいた子猫2頭を拾った。不妊手術をせずに飼育していたことから頭数が増えていった。
- 一度、当事者の姉が費用を負担してメス猫5〜6頭とオス猫1頭の不妊手術を行ったが、また新たにメス猫1頭を拾ってきたことで増えてしまい、現在の頭数となった。
- 地元議員から、ボランティア団体に「家庭において猫を40頭程度を飼育しており今も増え続けている」と情報提供あり。行政およびボランティア団体、地元議員で現場を確認し多頭飼育が発覚した。
- 申請までに、定期的なゴミ出しの実施や猫の居住環境を整えるように指導。また、飼いきれないのであれば猫の里親を探すように依頼。
- さらに「飼い猫に対する約束」という書面を渡し、今飼っている猫たちがなくなるまで猫は拾わない、もしも、拾ってしまった場合はすぐにボランティア団体、町、県に連絡するように指導した。
- 伊奈町は不妊手術の補助を実施しておらず、予算も確保されていない。現在も全頭の不妊手術が実施されておらず、頭数が増え続けていること等を踏まえ申請に至った。
- 当初、現場にいる猫は49頭と把握しており、手術済み10頭を除く39頭分のチケットを申請したが、申請後に新たに2頭を確認。さらに子猫8頭が生まれたため59頭となった(その後、子猫が2頭亡くなったため総数57頭となる)。
- チケットの有効期間内に35頭の手術を行った。期間内に手術することができなかった4頭と新たに生まれた子猫6頭の計10頭は2度目の申請を検討していたが、ボランティア団体の費用負担により全て手術済みとなった。
- 40頭は当事者宅へ戻り、残る17頭はボランティアが保護もしくは譲渡済みである。
- 手術後は部屋から汚物を取り除き、家具も家の中から処分した。トイレの数を1台から8台に増やし、砂の入れ替えも実施している。床に糞尿が溜まる等の再発はないが、アンモニア臭は残っている。
- 猫のストレスが軽減されたことは明らかである。食事も与えられ、閉めきりの部屋がなくなったので、猫が自由に部屋を移動できるようになった。空気の入れ替えも実施している。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
8月14日、24日 9月1日、4日、8日、11日、14日、25日、28日、29日 | 19 | 14 | 2 | 35 |
計 | 19 | 14 | 2 | 35 |
※実施時に行政、ボランティアで手術日ごとの内訳が正しく記録されていなかったため上記の表示とする。
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
動物愛護団体や動物病院の献身的な協力のもと、多頭飼育現場の大きな環境改善に繋げることはできたが、状況把握に時間がかかったため、その間に子猫が生まれるなど、期間内に全頭手術を行うことができませんでした。引き続き、どうぶつ基金の支援をいただきながら、当事者には継続した見守りや指導を行っていきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
一度、当事者の親族が費用を負担して複数頭に不妊手術を行ったにもかかわらず、新たな猫を迎え入れて60頭近くにまで繁殖させた当事者の責任は非常に重いと言わざるをえません。十分な餌や水も与えず、不衛生な環境で飼育することは立派な虐待にあたります。支援後はトイレも増設され、食事も与えられ、自由に動けるスペースが増える等、飼育環境は改善されつつありますが、過去の経緯から油断はできません。行政は誓約書を取り付けていますが、当事者が二度と同じことを繰り返さないよう、しっかりと見守りや指導を継続していただきたいと思います。