80_東京都八王子市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.80
申請日:2024年3月11日
申請/実施責任者:八王子市 健康医療部 生活衛生課
場所:東京都八王子市
居住者:当事者本人(68歳 男 無職)
居住環境:集合住宅/貸家
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):19頭(0頭)
手術日:3月15日、3月21日、3月24日、3月29日
協力病院:八王子mocoどうぶつ病院
チケット発行数:19枚
手術頭数:12頭(1頭は死亡、6頭はチケット期日までに利用できず未手術)
協働ボランティア:はちねこ
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 3、4年ほど前、前住地で知人女性から2頭(オス・メス各1頭)の猫を譲り受けた。繁殖制限を施さなかったことから1年くらいで子猫が産まれた。前住地では2回ほど出産し6頭くらいになった。
- 2023年1月、現住地に猫を連れて転居。同年春に子猫が産まれて現状の19頭になった。基本的には部屋の中で飼育しているが、たまに外に出てしまう猫もいる。
- 近隣住民からボランティア団体に情報提供、相談があり発覚。
- 不妊手術を施していないオスとメスを分けずにアパートの一室で飼育しているため、どんどん増えてしまい飼育しきれなくなっている。当事者は独居の生活保護利用者であり、体調や左足が悪くスムーズに歩けず入院のリスクも高いこと、また親族からの協力が得られないため今回の申請に至る。
- 手術が必要な19頭のうち、12頭がチケットにより手術済みとなった。FIPに罹患した1頭が飼養管理中に亡くなり、6頭がチケットの有効期間内に動物病院の予約ができず未手術となっている。
- 支援中に当事者が体調不良のため入院。大量の猫が取り残されていることを近隣住人が探知し、当事者の家も不衛生でありそのまま猫を飼養するのも不適切と判断。ボランティアと市で緊急的に保護し、ボランティア団体が全頭猫を引き取っている。現在は良好な環境で飼養管理されており、手術済みの1頭についてはすでに譲渡された。
- 未手術の6頭もボランティア団体が引き取っており、本来は2回目多頭飼育救済の申請は不可である。ただ、今回は当事者が入院するなどして緊急保護となった経緯を考慮し、特例で2回目申請を認める判断が出されており、4月以降に再度本事業を利用して手術を実施する予定。
- 当事者は現在も入院中。今後については生活保護のケースワーカーと調整する予定。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
3月15日 | 2 | 2 | 0 | 4 |
3月21日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
3月24日 | 0 | 1 | 0 | 1 |
3月29日 | 5 | 0 | 0 | 5 |
計 | 7 | 5 | 0 | 12 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
初めて生活保護担当所管と連携して多頭飼育救済を行った案件であったため、手探りの実施になった。生活保護担当所管、ボランティア団体、どうぶつ基金による迅速な対応のおかげで比較的スムーズに実施できたと考えられる。当事者との面談や生活保護担当所管とのやり取りが、もう少しスムーズにできた部分があったのではと感じている。
どうぶつ基金スタッフコメント
支援中に当事者が入院してしまうという緊急事態となりましたが、もし支援の手が入っていなければ、19頭の猫が取り残される恐ろしい事態も考えられました。本来、保護された未手術の猫は支援制度の対象外となりますが、今回のケースにおいては緊急保護となった経緯を考慮し、この6頭については2回目申請を認める判断が出ています。
残念なことに病気で1頭が亡くなってしまいましたが、残りの18頭については保護され、すでに1頭が譲渡されています。6頭の猫も一日も早く不妊手術を終え、保護されたみんなに良いご縁があることを願っています。
当事者もまずは自身の体調を回復し、暮らしの立て直しを図っていただきたいです。これまでの当事者の飼育は適正とはとても言えませんが、唯一、転居の際に前住地に猫を残さず一緒に連れてきたことだけは間違っていないと伝えたいと思います。