42_鹿児島県霧島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.42
申請日:2023年9月11日
申請/実施責任者:霧島市 環境衛生課
場所:鹿児島県霧島市
居住者:当事者本人(79歳、女、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:31頭
手術日:10月4日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:31枚
手術頭数:15頭(3頭は譲渡先が見つかり3頭は行方不明。10頭は捕獲ができなかったり幼齢のため未手術)
協働ボランティア:waco
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 3年ほど前に野良猫に餌やりを始め、飼育するに至った。その後も野良猫4~5頭に餌やりをしていたところ、徐々に頭数が増えてしまった。
- 介護予防サービス等の利用にあたり、社会福祉協議会が訪問した際に多頭飼育が発覚。
- 猫好きの方が子猫の引き取りや里親探しをしてくれるなかで不妊手術の必要性を説明したが、当事者には手術費用の負担が難しかった。別団体の事業で安く手術ができると案内を受けて話が進んでいたが、やはり手術費の捻出が難しく中断となった。
- 当事者も不妊手術の重要性を理解しているが、費用の面でどうしても実施できない状況。今回、社会福祉協議会やボランティア団体の支援が得られるとのことで申請を決定した。
- 31頭で申請していたが、手術前にボランティア団体が3頭を引き取り、さらに3頭が行方不明となったため、手術が必要な頭数は25頭となった。手術前にボランティアに引き取られた3頭は譲渡先で全頭手術済みである。
- 15頭はチケットにより手術済みとなったが、捕獲できない・幼齢である等の理由で10頭が未手術のまま残ってしまい、2度目の申請を検討している。
- 当初、猫用のケージや籠と猫に関係のないものが乱雑に置かれている状況であったが、そこがきれいに整理されたことで今後清掃がしやすくなり、臭いの軽減が見込まれる。
- 猫たちの健康は当初から問題なかったが、部屋の環境がよくなり今後の維持も期待できるため、衛生的不安による健康被害のリスクは減ったと思われる。トイレの数に変更はなく運動は基本的に外でしている。部屋が整理されたことで、飼育環境の中での危険性は軽減された。
- 当事者と猫たちはこのまま同じ場所に住み続けるが、当事者は高齢で足に不安があり多くの猫の面倒を見ていくのは困難とのことで、ボランティア団体と一緒に譲渡先を探していく。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
10月4日 | 7 | 8 | 0 | 15 |
計 | 7 | 8 | 0 | 15 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
はじめて多頭飼育救済を利用させていただき、事務的な不備等は多々あったところは反省しなければならないが、当事者が悩みから解放され、猫たちにとっても過ごしやすい環境へと改善されたので、非常によかったと思う。ボランティア団体の協力の得ることができ、当事者と猫、双方のためになった非常に良い活動であった。
当事者は、今後に不安を抱えていた中だったため非常に喜んでおられ、最初は利用を悩んでおられたが、今後の継続的な活動にも前向きに捉えるようになられた。
行政としては不手際が多く反省しなければならないが、事業としては皆様のおかげですごくいいものになった。
どうぶつ基金スタッフコメント
頭数が少ないうちに不妊手術ができていれば、猫も当事者も穏やかに暮らせていたと思います。近年は安価で不妊手術を受けられる病院も増えていますが、経済的に困窮していなかったとしても、数十頭の費用を一度に捻出するのは大変なことです。解決に向けた第一選択肢は飼い主が自費で不妊手術を行うことですが、どうやってもそれが難しい場合の第二選択肢が限られる現状があります。多頭飼育崩壊は地域の環境問題でもあります。「飼い主のいる猫にお金を使うな」という意見があることは承知していますが、それを声高に叫んだところで悪化の一途をたどるだけ。社会問題として、どのように向き合っていくかが今後問われていくでしょう。
本件の当事者にとって、今回の支援は不安を払拭し、あらためて猫と向き合うきっかけになったことと思います。行政には未手術10頭の対応を急いでいただき、当事者には、1頭での多くの猫が新しい家族を見つけられるよう、ボランティア団体とともにあきらめずに里親探しを継続してもらいたいです。