27_鹿児島県薩摩川内市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.27
申請日:2024年7月25日
申請/実施責任者:薩摩川内市 環境課
場所:鹿児島県薩摩川内市
居住者:当事者本人(77歳 女 無職)、配偶者(81歳 男 無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):33頭(3頭)
手術日:8月6日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:33枚
手術頭数:32頭(子猫1頭が手術前に死亡したため)
協働ボランティア:NPO法人 犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 8年ほど前の雨の日に3頭の子猫が網戸を登っていたため、かわいそうに思い家の中に入れてあげた。
- その後動物病院を受診しワクチンは打ったが、不妊手術は行わなかった。動物病院の先生からも不妊手術の説明はなかった。そのため子猫が産まれてもワクチンのみしかせず、3年ほど前から多頭飼育状態となっている。
- 当事者本人より県の保健所へ相談があり発覚した。その後、保健所からボランティア団体へ情報提供があった。
- 保健所からはトイレの数を増やすこと、早急に不妊手術を行うことを指導した。
- 当事者およびその夫は高齢であり、無職の年金暮らしである。娘が2人がいるが、2人とも県外で暮らしており援助を受けることもできない。また当事者は週に3回透析を行いその治療費がかかっており、自己負担で不妊手術を行うことは難しいため、多頭飼育救済の申請を決定した。
- 手術前に子猫1頭が死亡したため、手術対象は32頭となり全頭不妊手術が完了した。メス8頭のうち3頭が妊娠しており、残念ながら堕胎手術を行った。
- もともと毎日掃除をしており比較的きれいな状態だったが、自宅内の尿臭は強かった。手術後はトイレの数を1つから7つに増やしたことで臭いは少し和らぎ、改善がみられた。飼育環境も改善されたことで、猫のストレスも軽減されたと思われる。手術の際にワクチン接種やノミダニ駆除も行っており、健康状態は良くなっている。
- 当事者は、今後も現在の居住地に住み続ける。猫については、今後ボランティア団体が行う譲渡会に参加するなどして、減らしていく予定である。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
8月6日 | 24 | 8 | 0 | 32 |
計 | 24 | 8 | 0 | 32 |
【現場写真(支援前)】
【現場写真(支援後)】
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
初めての多頭飼育救済支援の取組だったが、ボランティア団体や保健所と協力して行うことができた。
手術前に子猫が1頭亡くなったことは残念であったが、ほか32頭すべて手術することができ、当事者も安心したようだった。
しかし、市内に協力病院がないことから、遠方の協力病院へ運搬することとなった。頭数も多く、自宅での手術ができれば猫たちの負担もさらに減ったのではと考えられるため、次回以降事前にどうぶつ基金様へ相談するなど対応していきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
過去に支援してきた案件では、当事者が猫を医療にかけていることはほぼありません。しかし、本件の当事者は子猫3頭を保護した後、動物病院に行きワクチン接種をしていました。その後も子猫が生まれるたびに動物病院でワクチンだけは受けさせていました。支援前の室内の様子を見ても清掃などはしっかりとされており、飼育環境は他の事例と比較してひどい状況ではなかったようです。
だからこそ、当事者が頻繁に子猫を連れてくることについて、動物病院が少しでも疑問を持ってくれていたら、その時に不妊手術の必要性を説明してくれていたら、もっと早く状況が改善していたかもしれない、それどころか多頭飼育崩壊に陥らずに済んだかもしれないと思うと残念でなりません。
手術実施時には3頭がすでに妊娠していました。堕胎処置に是非があることは承知していますが、ここで繁殖を止めなければさらに状況は悪化していたでしょう。当事者はその重い責任を背負って、猫たちのこれからをしっかりと考えていかなければいけません。