24_埼玉県羽生市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.24
申請日:2024年7月17日
申請/実施責任者:羽生市 健康づくり推進課
場所:埼玉県羽生市
居住者:当事者本人(71歳 男 清掃業)、配偶者(65歳 女 無職、支援期間中に逝去)、長男(41歳 無職)、長女(33歳 障がい者雇用枠)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):72頭(40頭)(当初45頭で申請するも実際は72頭であった)
手術日:8月30日、10月3日、10月4日、10月9日、10月11日、10月16日
協力病院:久喜動物クリニック
チケット発行数:20枚(申請時に把握していた45頭から子猫25頭を除いた20頭分を申請)
手術頭数:20頭
協働ボランティア:個人ボランティア

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2016年頃に家の前にいた子猫を拾い、近隣をウロウロしていたその親猫も飼い始めた。猫は室内外を自由に行き来して庭で出産。生まれた子猫も室内を出入りするようになり餌を与えていた。
  2. 当事者は仕事が忙しく帰りが遅いため、飼育については何も意見が言えなかった。長男はうつ状態、長女には障がいがあって判断力が乏しく、餌を与えておけばよいという考えからどんどん頭数が増えていった。
  3. 2022年11月に長女が会社の上司に、母が寝たきりで家の中が汚い状態だと相談した。会社から北埼玉障がい者生活支援センターに相談内容が伝わり、センター所長と市の社会福祉課障がい福祉係職員が訪問し、多頭飼育であることが発覚。室内を片付けて生活環境の改善を図ること、管理しきれない猫は保護等してもらえる団体等を見つけて保護してもらうように指導した。
  4. 家の中は物が散乱して糞尿も放置されたまま。近隣住民から糞尿による臭気の苦情もあり、長女には湿疹等のアレルギー症状が出ている。劣悪な生活環境を改善する必要があり申請に至った。
  5. 当初、現場の猫の総数は45頭(うち子猫25頭)としており、支援前に子猫4頭が死亡、残る子猫21頭をボランティア団体(特定非営利活動法人funnyCat&Dog、またたび家)が保護したため、成猫20頭分のチケットを申請。
  6. 支援開始後に頭数を確認したところ、当初の猫の総数は72頭(うち子猫40頭)であったことが発覚。子猫40頭のうち9頭が亡くなり、31頭がボランティアに保護された(支援前にボランティア団体が保護した21頭+支援後に発見された10頭は個人ボランティアが保護)。不妊手術が必要な成猫32頭のうち、チケットによる手術が20頭、個人ボランティアの費用負担による手術が10頭、当事者の費用負担による手術が2頭となり、全頭手術済みとなった。
  7. ボランティアが引き取った子猫については、手術可能な月齢になるまで待ってボランティア等で手術予定。
  8. 支援後にトイレが増設され、室内に散乱していた糞尿はほぼなくなった。
  9. 手術済みとなった成猫32頭は当事者が飼養を継続する。
手術日オスメス耳カットのみ
8月30日2002
10月3日3003
10月4日0303
10月9日2103
10月10日1203
10月11日1203
10月16日2103
119020

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
トイレの確保や、糞尿・不要物の片付けはできた。しかし、家族の障がいなどもあり、清掃について細かな指導をしても改善が進んでいない。子猫はすべて保護されたため、新たな出産は確認されていない。


どうぶつ基金スタッフコメント
ご家族の障がいなどさまざまな状況はあれど、猫を飼い始めるきっかけを作った当事者がきちんと飼養環境を整えるべきであったことは言うまでもありません。その責任を果たさなかった結果が72頭もの多頭飼育崩壊です。今回、31頭の子猫はボランティア団体に保護されましたが、子猫9頭が亡くなるという悲しい結果もありました。もう少し早く支援が行われていれば救うことができた命かもしれません。
支援前の写真からも分かる不衛生な室内環境は、支援後に幾分か改善されているようですが、行政も「改善が進んでいない」というように、猫たちが健やかに暮らすにはまだまだ対応が不足しています。場合によっては、譲渡を通じて飼育頭数を減らすことを考える必要があるかもしれません。
猫が健やかに暮らすことができる環境=人にとっても最適な環境です。本件は福祉部門とも連携しているとのこと。担当課が協力しあって、本件の解決に向けて引き続きご尽力いただくことを望みます。


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