37_鹿児島県阿久根市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.37
申請日:2024年10月25日
申請/実施責任者:阿久根市 環境水産課
場所:鹿児島県阿久根市
居住者:当事者本人(70歳、男、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):30頭(6頭)
手術日:11月5日、12日、26日
協力病院:くすのき動物病院
チケット発行数:30枚
手術頭数:30頭
協働ボランティア:アニマルホスピス協会
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 約4年前、自宅敷地内に迷い込んできた1頭の子猫に餌を与え始めた。
- そのうち、2頭、3頭と寄り付いてきて繁殖を繰り返し、現在の30頭にまで増えてしまった。多頭飼育崩壊に陥ったのは、ここ1年以内である。
- 2024年9月、匿名で当事者宅の近隣に住む女性から怒った様子で「当事者宅に猫が30頭程おり、ダニによる被害、敷地内への侵入、庭荒らし、糞害に以前から悩まされている。先日も家族の体中の皮膚が炎症し、皮膚科を受診した。どうにかしてほしい」と苦情・相談が入り発覚。
- 苦情があった当日に市職員2名で当事者宅を訪問。
- 当事者に近隣から苦情が出ていることや近隣住民がダニの被害に悩まされていることを伝え、不妊手術が必要であること、頭数を減らしていかなければ根本的解決が図れないことを説明し指導を行った。
- 2024年10月にも状況確認のため再度訪問、上記と同様の指導を行った。
- 飼育頭数が30頭と多く、当事者は年金収入のみであり貯蓄もない。日々の餌代はなんとか捻出できているが、当事者が不妊手術費用を賄うことは難しい状況。苦情者も早期の解決を望んでおり、ノミ駆除剤の投薬も必要である。これらを踏まえてボランティア団体と現場を確認し、早急に対応しなければさらなる悪循環を招くと判断したことから申請に至った。
- チケットを使用して、30頭すべて手術済みとなった。
- 発覚時は家の周りに空き缶などのごみが散乱し、餌の容器や水入れが汚れ、猫30頭に対してトイレは2ヶ所だけという不衛生な状況であったが、最終的にごみは片付けられ、餌の容器も新品に交換し、トイレは猫の相性の良さでグループ分けを行い、ひとまず「グループの数+1」として合計7台設置した。最終的には「猫の数+1」を目標に指導を行っている。
- 猫は室内外を自由に出入りし、運動もできておりストレスはないようである。
- 猫は引き続き当事者が飼養するが、県が運営する動物愛護センターの里親募集掲示板に掲載するなどして譲渡に取り組み、頭数を減らすよう努めていく。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
11月5日 | 5 | 5 | 0 | 10 |
11月12日 | 6 | 4 | 0 | 10 |
11月26日 | 1 | 9 | 0 | 10 |
計 | 12 | 18 | 0 | 30 |
【現場写真(支援前)】


今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
全頭の不妊手術ができたことは満足のいく結果であった一方、近隣住民からの苦情は2024年9月で、支援を申請して全頭の手術が完了したのが11月中と少し期間が開いてしまい、“早急な対応ができた”とは言えない状況である。
どうぶつ基金スタッフコメント
近隣住民からの苦情がなければ誰にも気づかれないまま繁殖が進み、さらに悲惨な状況になるところでした。ひとまず全頭の不妊手術が完了しましたが、当事者が飼い主として果たすべき責任をまっとうすることで初めて、苦情者をはじめとする近隣住民からの理解を得ることができます。行政にはそのための指導と見守りをぜひ、継続していただきたいと思います。
本来、猫は慈しむ存在のはず。それを疎まれる存在に変えて問題の解決を遅らせるのは「人」です。その部分を見誤ることなくきちんと対応すれば、本件のように解決へのきっかけをつかむことができます。そのことを多くの行政に理解していただきたいと強く感じます。