40_香川県観音寺市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.40
申請日:2022年10月28日
申請/実施責任者:観音寺市 生活環境課
場所:香川県観音寺市
居住者:当事者本人(50歳、男性、新聞配達員)、弟(38歳、会社員)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:43頭
手術日:実施できず
協力病院:ろばの子どうぶつ診療所嶺北分院
チケット発行数:36枚(手術済み2頭、子猫5頭を除く36頭分)
手術頭数:0頭(ボランティアの費用負担により36頭すべての不妊手術を実施)
協働ボランティア:香川県登録譲渡ボランティア 縁-en-

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 約12年前、妻への誕生日プレゼントとしてメスの子猫1頭を知人から譲り受けて飼い始めた。
  2. 完全室内飼いであったが、壁の隙間等からオスの野良猫が侵入してきたらしく妊娠し、その後徐々に増えていった。しばらく頭数が大きく増えることはなかったが、ここ1、2年で急激に増え多頭飼育崩壊状態となる。
  3. 不妊手術の重要性は理解しているが生活が困窮しており、オス2頭の去勢手術を実施したところで資金が底をついた。その間も繁殖は進み、急激に50頭前後まで頭数が増加。猫の世話は主に妻がしていた。
  4. 妻と離婚する2022年5月までは、頭数は多いながらも最低限の猫の世話や雌雄の分別管理ができていたが、離婚して以降は世話が行き届かなくなった。雌雄の分別管理もできなくなったことから子猫が生まれ、掃除も行き届かず床に糞が堆積する多頭飼育崩壊状態となり、猫の死亡(原因不明、7~8頭)や脱走も発生していた。
  5. 2022年5月30日、当事者から西讃保健所に対して飼い猫の引取り相談あり。同日保健所が現場に立ち入ったが、最低限の餌やりや掃除はできており雌雄の分別も適切に行えていたため引取りを拒否し、譲渡先を探す努力をするよう指導した。
  6. 2022年9月20日、市議から生活環境課に連絡あり。その後、ボランティアからも西讃保健所に対し相談があった。
  7. 保健所立ち入り時に、できる限り譲渡先を探すなどして頭数を減らす努力をすること、壁の隙間等を塞いで猫が逸走しないようにすること、部屋やケージを区別する等して雌雄の分別管理をすること、糞の掃除を適切に行い部屋とケージを清潔に保つこと等の指導が行われている。
  8. しかし、当事者には猫を適切に管理できる能力も金銭的余裕もなく、劣悪な飼育環境で死亡する猫も出ている。また、ボランティアの助力によって雌雄の分別を行ったものの当事者による管理は難しく、妊娠している猫が複数いると想定される。県やボランティアはすでに収容能力が限界に近く、引取りや譲渡による頭数減が困難。一刻も早い不妊手術が不可欠であるため申請を行った。
  9. 手術の実施に向け、保健所や市、ボランティアが協力して当事者宅内の飼育スペースを清掃し、仕切りを設けて雌雄の分別飼育ができる環境を整えていたが、当事者に猫を適切に管理する気がなく、せっかく分別した猫も混在した状況が確認された。そのため、ボランティアが頭数をこれ以上増やさないことを優先させ、ボランティアが費用を負担して予定していた36頭すべての不妊手術を実施。そのため、チケット使用は0頭となった。
  10. 現在、当事者宅には成猫38頭(すでに手術済みであった2頭+今回の36頭)が残る。子猫5頭は保健所に引き取られ、愛護センターにて譲渡先を探しているとのこと。成猫38頭についても当事者が継続飼養しながら、県・市・ボランティア団体が里親探しを行い飼育頭数を減らしていく。

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】
支援未実施のためなし

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回、初めて多頭飼育崩壊への対応に取り組み、当事者の意向や頭数の状況によっては計画通りに実施することが困難なケースがあることを知った。今後は、保健所とともに多頭飼育当事者の状況を把握するチェックリストを作成し、どうぶつ基金への申請の可否を判断するように努めていきたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
本件では無料不妊手術チケットは使用されず、ボランティアの費用負担により予定していた36頭の不妊手術が行われました。これ以上の繁殖を防ぐために手術を急いだとのことですが、ご尽力されたボランティアの皆様にとっては決して小さくない負担であったと思います。
現在、現場には38頭の成猫が残ります。報告を見る限り、当事者には猫を健全に飼育する能力はありません。行政やボランティアの手が入ったことで飼育環境は改善されているようですが、1頭でも多くの猫に譲渡先が見つかり、穏やかに暮らしてくれることを祈ります。
子猫5頭は保健所に引き取られましたが、愛護センターにて譲渡先を探しているとのこと。チケットを発行するにあたっては、保健所に引き取られる子猫5頭に譲渡先が見つからない場合も殺処分はしないという確約を得ていました。今回、チケットは使用されませんでしたが、愛護センターには一度救った命を奪うことのないよう重ねてお願いしたいと思います。


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