41_茨城県高萩市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.41
申請日:2021年9月30日
申請/実施責任者:高萩市 環境衛生課
場所:茨城県高萩市
居住者:当事者本人(48歳、女性、アルバイト)、配偶者(63歳、男性、タクシー運転手)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:13頭(うち5頭は手術済)
手術日:11月25日
協力病院:いながき動物病院いわき分院
チケット発行数:8枚
手術頭数:7頭(1頭が手術日前に死亡)
協働ボランティア名:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 20年前に犬を飼育しており、その犬の餌を野良猫が食べにくるようになった。その後、子猫が産まれて保護し5頭を飼育していた。
- 過去に自宅近くの空き地に何度か猫が捨てられており、その度にかわいそうなので保護していた。
- 増えないように雄のみ全て去勢手術を行い、猫を外から出さないように努めているが、時々脱走した猫が妊娠して帰ってきてしまうことがあり増え過ぎてしまった。いちばん多いときは30頭になった。
- 近隣に住宅が少なく特に苦情は寄せられていない。個人ボランティアからの情報提供で多頭飼育状態であることを把握した。
- 飼い主は元々持病があり、昨年は入院もしている。体調が優れないなかアルバイトをして自分の医療費と猫の餌代等を何とか捻出している状態。
- このまま放置すると将来的に状況悪化が懸念されたため申請に至る。
- 現場の猫13頭のうち7頭の不妊手術を実施。未手術の猫は8頭だったが、このうち1頭は手術予定日前に亡くなってしまった。
- 申請時にいた去勢済のオス5頭のうち1頭が逸走したまま戻らず。現場の猫は現在11頭で、引き続き当事者が飼育を継続する。
- 手術後はマーキングをしなくなり、悪臭が大幅に軽減された。
- トイレも1カ所増設して3カ所となり、清掃は行き届いている。猫の健康状態も問題なく、手術前と比べ穏やかになった。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月25日 | 0 | 7 | 0 | 7 |
計 | 0 | 7 | 0 | 7 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
個人ボランティアの協力もあり、概ねスムーズに実施できた。
今回不妊手術を実施したことで、頭数増加の抑制だけでなくスプレーによる悪臭がなくなり、当事者も大変助かったと一安心した様子だった。猫の逸走防止について助言し、今後も困った時や悩んだ時は一人で抱えず、市やボランティアへ相談するようお願いした。
どうぶつ基金スタッフコメント
市の環境衛生課が多頭飼育状態であることを把握したきっかけは、個人ボランティアからの情報提供でした。しかし、地域を担当する民生委員は、昔から当事者が捨て猫を拾って多数飼っていることを知っていたようです。こういった情報がうまく動物愛護関連部署へ連携されるようになれば、より早く対策が打てるのではないでしょうか。
また「オスだけ去勢すればよい」という考えは誤りです。その場にいる猫は性別問わず、1頭も残さず不妊手術を行うこと。そして室内飼育を徹底すること。多頭飼育崩壊を止めるにはこの方法しかありません。実際、この当事者も逃げて戻ってきた猫が妊娠していたことで、状況の悪化に拍車がかかりました。
今回解決に至ったのは喜ばしいことですが、多頭飼育崩壊に至った経緯を考えれば、当事者が新たな猫を増やさないよう継続的な訪問と現状のチェックが必要でしょう。