45_山梨県甲斐市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.45
申請日:2021年10月6日
申請/実施責任者:甲斐市 環境課
場所:山梨県甲斐市
居住者:当事者本人(女、62歳、無職)夫(男、60歳、建築業)息子(男、36歳、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:16頭
手術日:2022年11月30日、12月16日
協力病院:ふー動物病院 山梨分院
チケット発行数:16枚
手術頭数:8頭(2頭は当事者負担で手術済、2頭が手術前に死亡、体調不良等により4頭が未手術)
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 7年前の秋頃、庭に来た3頭の野良猫に餌をあげたことでその猫たちが庭に居付くようになった。
- 手術の必要性は分かっていたが金銭面の問題で手術が出来ず、そのうちメス猫が庭の物置の中で子猫を産んでしまった。他からも野良猫が来るようになってまた子猫が産まれ、時には家の敷地に子猫を置いて行かれることを繰り返して現在に至る。
- ボランティアからの情報提供により発覚し、早急に対応しなければ、より深刻な問題になると判断したため申請に至った。
- 16枚申請したが、チケット申請中に出産間近の1頭と交通事故で入院した1頭については当事者が費用を負担して手術を行った。
- また、手術予定で体調回復を待っていた2頭が体調悪化によって死亡。他2頭が手術前に行方不明、さらに2頭が体調不良により手術できず、合計8枚が未使用となった。
- 今後は体調不良のため未手術となった2頭と新たに産まれた子猫2頭の計4頭を手術予定。
- 手術後は猫の体重が増え、体つきがしっかりしてきた。
- また、術後は猫を庭に出すことができるようになり、ストレスも減ったようである。猫たちの居住スペースにはホットカーペットを敷き、ストーブを置くなど、風邪を予防・治療するための工夫が施された。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月30日 | 3 | 2 | 0 | 5 |
12月16日 | 1 | 2 | 0 | 3 |
計 | 4 | 4 | 0 | 8 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
ボランティアの持ち出しによる医療品の提供や、事故に遭った猫の病院への搬送・入院手続き、またドライフードやウェットフードなど飼料の支援など、できる限りの支援・協力をしたが、当事者の意識を満足するまで改善することができなかった。今後も引き続き指導する予定。
どうぶつ基金スタッフコメント
行政の報告書からは当事者の猫に対する感情や気持ちを知ることはできませんが、どのような想いを持っていたとしても、手術の必要性が分かっていながら7年ものあいだ放置していた責任は決して軽くありません。行政の報告にもあるように、猫が増えた経緯や未手術の猫4頭が現場に残っていることを考えると今後も継続して観察が必要なケースでしょう。
今回、行政と協働したのは個人のボランティアの方で、その方の情報提供から発覚した案件でした。予備軍も含め、多頭飼育崩壊の情報は行政にはなかなか届きません。過去のコメントでも何度も記載していますが、環境省が公表している多頭飼育対策ガイドラインには、官民を超えた連携が重要であることがはっきりと書かれています。手術の時だけではなく、情報共有や支援後のフォローなどでもスムーズに協力しあえるような体制づくりが求められています。