68_沖縄県糸満市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.73
申請日:2021年12月28日
申請/実施責任者:糸満市 市民生活環境課
場所:沖縄県糸満市
居住者:当事者本人(19歳、女、無職)、母(55歳、パート)、当事者兄(22歳、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:18頭
手術日:2022年1月16日、23日、3月24日
協力病院:TNRよみたん
チケット発行数:18枚
手術頭数:18頭
協働ボランティア:一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーる
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 当事者は何度も猫を飼いたいと拾ってきたが当事者の母に拒否されていた。しかし、2017年に母の職場で猫を譲渡している人がおり2頭をもらい受けた。
- 当事者は猫の雌雄を分けて管理し飼育すると約束していたが次第に管理を放棄。猫が妊娠してしまった。
- 母は仕事で忙しく、雌雄を分けて管理されていなかったことに気付いたのは猫が妊娠してからだった。当事者に対して注意はしたものの、その後、猫の管理をしなくなりどんどん増えていった。
- 2年前からはきちんと雄雌を分けて飼育しており、それ以降、数は増えていない。
- ボランティア団体から市に対して「集合住宅の方が猫を18頭飼っている。集合住宅自体はペット禁止ではないが頭数がかなり多い」との情報提供があった。
- 訪問して雌雄を分けて飼育していることは確認したが、部屋やトイレといった区画で分けているのみであった。ドアの開閉時に猫が移動する可能性もあるため、猫に不妊手術を受けさせるよう指導してきた。当事者は手術を希望しているが、手術費用が捻出できず、これまでに手術が行われた猫はいない。
- 餌代が生活を圧迫しているような状況で不妊手術も進まないことから、さらに猫が増える可能性が高いため申請を決断した。
- 手術後、当事者の母が部屋の清掃を行った。臭いはまだ残っているが、手術前よりも環境は改善されている。
- 雄雌を分けて飼育する必要がなくなり、また、手術時にノミダニ駆除薬を使用したことで猫の皮膚の状態も良くなっている。
- 手術後に2頭が知人に譲渡された。残る16頭は現場に戻り、譲渡先を探しながら当事者家族が飼育を継続する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
1月16日 | 0 | 8 | 0 | 8 |
1月23日 | 7 | 1 | 0 | 8 |
3月24日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
計 | 8 | 10 | 0 | 18 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
これまで多頭飼育救済を行ったことがなかったが、ボランティア団体の協力もあり早く進めることができた。
ボランティア団体から2021年12月に市に情報提供、同月28日にどうぶつ基金へ申請、2022年1月6日に承認がおり、16日と23日の2日間で18頭中16頭の手術が完了した。残り2頭はけいれんを起こす等の症状が出たことで手術が3月と遅れてしまったが、全体的に順調に進めることができたと思う。
どうぶつ基金スタッフコメント
猫の飼育を強く要望したのは自分であるにもかかわらず管理や飼育を途中で放り出し、支援時においても、捕獲や現場清掃などに尽力しているのは当事者の母親のみ。行政の報告書を読む限り、当事者に多頭飼育状態を解決しようとする意志は感じられず、無責任極まりない当事者の姿だけが浮かび上がってきました。
猫は、気が向いた時だけ可愛がっていればいい動くぬいぐるみではありません。食べて排泄し、ケガもして病気にもなり、苦痛もストレスも感じます。そして、当然ですが何も処置をしていなければ繁殖もします。命を預かった以上、そのすべてをケアするのが飼い主たる人間の責任です。
これから当事者は現場に戻った16頭の命とどう向き合うのでしょうか。飼育を継続するにしても譲渡を進めるにしても、今度は決して投げ出さず、しっかりと最後まで自分自身で責任を全うしてほしいと強く願います。