69_長野県小県郡長和町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.69
申請日:2022年1月4日
申請/実施責任者:長和町 町民福祉課
場所:長野県小県郡長和町
居住者:当事者本人(女、59歳、無職)夫(男、64歳、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:20頭
手術日:2022年2月10日、3月18日
協力病院:しんけん動物病院
チケット発行数:20枚
手術頭数:16頭(獣医師の判断により子猫4頭が未手術となった)
協働ボランティア名:一匹でも犬・ねこを救う会
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 1999年の冬頃、1頭の野良猫が当時飼っていた犬の餌を食べに来ており、家に入れたら居ついてしまった。
- 居ついた猫が4頭の子猫を出産してしまい、その後も飼い猫同士での繁殖が続いたが亡くなる猫も多く(保健所からは遺伝性の病気の可能性があるとの指摘)、平均7~8頭を飼っている状況が続いていた。
- しかし、2021年に入って子猫が生まれたことで飼い猫の頭数が計20頭まで増加。当事者自身で猫20頭の餌代を捻出することが厳しい状況となってしまった。
- 当事者の配偶者が要介護状態となったため地域包括支援センターの職員が支援に介入した際、多頭飼育状態であることが発覚。
- 経済的な理由により、現状でさえ当事者が全頭の面倒を見ることは厳しい状況であるが、今後さらに頭数が増えた場合にさらに深刻な状況となることが考えられ、多頭飼育救済の申請を行うことを決定した。
- 申請した20頭のうち16頭が手術済み。子猫4頭は風邪のような症状がみられたことから、獣医師の判断により手術不可となった。未手術の子猫4頭はボランティア団体が保護して里親を探すこととなり、16頭は当事者宅へ戻りこのまま当事者が飼育を継続する。
- 猫の飼育環境については改善が見られる。今後の飼育に支障をきたすことはないと考えているが、手術後もマーキング臭が家屋全体に充満している状態である。
- トイレの数は適切に設置されており問題はない。その他運動スペースも自由に動ける場所が確保されている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
2月10日 | 8 | 7 | 0 | 15 |
3月18日 | 1 | 0 | 0 | 1 |
計 | 9 | 7 | 0 | 16 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
概ね問題なく事業を進められたと感じるが、当事者との情報共有不足や指導不足があり、全頭一斉の手術とはならなかった。反省点として、今後事業を行ううえで、当事者・ボランティア団体・自治体間での連絡調整を十分に行い、実施するよう心掛けたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
福祉の手が入ったことで多頭飼育状態が発覚し、現場に残る16頭についてはすべて手術が完了しました。ただ、当事者の経済状況などを考えると今後の飼育継続に不安が残ります。ボランティア団体等の協力を得ながら譲渡先を探し、少しずつでも猫の頭数を減らす努力が必要でしょう。
行政の報告書にも記載がありますが、不妊手術をしていない猫が複数飼育されていても頭数が一定に保たれているということは、数多くの猫が亡くなっているということになります。
無関心過ぎて、子猫が生まれたことにも、その子猫がいつの間にかいなくなっていることにも気づかないのでしょうか。それとも、気づいても見て見ぬふりをしているのでしょうか。これまで数多くの多頭飼育案件を見てきて感じることは、悲惨な状況であればあるほど、死に対しての感覚が麻痺していくのではないかということです。
1つ1つの命を慈しむこと、それが決して簡単ではないことを思い知らされます。