6_福岡県筑紫野市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.6
申請日:2021年4月6日
申請/実施責任者:筑紫野市 環境課
場所:福岡県筑紫野市
居住者: 当事者本人(49歳、男、無職)、母(78歳、無職)、父(82歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:25頭
手術日:5月4日
協力病院:どうぶつ基金病院(福岡)
チケット発行数:8枚(成猫2頭は手術済み、子猫15頭は里親にて手術予定。残り8頭分を申請)
手術頭数:8頭
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 1~2年前に家の周辺にいた2頭の猫を室内に入れて飼い始めた。
- 2020年の冬に妊娠した猫が庭に来るようになった。寒さが厳しくなり、これらの猫も室内に入れたことから猫の数がさらに増えていった。
- 近所の住民に猫を譲渡するなどの努力はしていたが、春が近づきメス猫が次々に妊娠・出産。子猫が15頭となった段階で対応できなくなり、担当のケースワーカーが市へ相談。
- 当事者は生活保護受給者であり、自身で不妊去勢手術費用を賄うことができないため支援が必要と判断。現地へ立ち入りを行った。
- 猫のトイレは1つしかなく、爪とぎも用意されていない。家の柱は猫に削られ、大黒柱が3分の1程度なくなっていた。
- 15頭の子猫はすべてボランティア団体が保護し、譲渡後に里親にて手術予定。成猫2頭は手術済みであったため残り8頭の手術を実施。
- 手術後、ボランティア団体がトイレを増設(どの猫も使用しないトイレは現在撤去されている)。爪とぎによって破損していた柱については、巻き付けるタイプの爪とぎを設置できないか検討中である。
- 目に疾患のあった猫がいたが、ボランティア団体によって獣医師の診察を受け、今後の治療は当事者負担で行う予定。
- ボランティア団体が譲渡のためにメス猫1頭を保護。残りの猫については、譲渡を目指して里親募集の準備を行っている。性格など諸事情により譲渡が難しい猫については当事者が飼育を継続する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
5月4日 | 3 | 5 | 0 | 8 |
計 | 3 | 5 | 0 | 8 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
予定していた猫についてはすべて捕獲することができ、いずれの猫も健康に問題なく手術を終えることができました。子猫は半数、成猫は1頭(予定)の譲渡先が決まりましたが、残りの子猫や成猫の譲渡先が決まっていないため、自己評価は80点とします。
どうぶつ基金スタッフコメント
当事者宅を担当していたケースワーカーからの相談がきっかけとなりました。この相談がなければ把握が遅れ、さらに深刻な状況になっていたことと思います。
2021年3月に環境省が公表した多頭飼育対策ガイドラインには、動物愛護部局と社会福祉部局が連携して対応することの重要性が記載されています。今回の筑紫野市のケースは、まさにこの部分の連携がうまく働き、素早い支援につながりました。
筑紫野市のように解決に向けて尽力する行政がある一方、いまだに「所有者の問題」の一言で片づけ、多頭飼育崩壊を放置する行政もあります。今や大きな問題となった多頭飼育崩壊にこれからも目を背け続けるのか、各行政の姿勢が問われます。