53_群馬県前橋市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.53
申請日:2022年12月9日
申請/実施責任者:前橋市 保健所 衛生検査課
場所:群馬県前橋市
居住者:当事者(49歳、女、無職)、娘(中学生)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:18頭(24頭で申請するも実際は18頭と判明)
手術日:2022年12月23日
協力病院:ふー動物病院(群馬分院)
チケット発行数:24枚
手術頭数:18頭
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 当事者には精神疾患があるため、本人から猫を飼い始めた経緯は確認できていない。外猫にも餌やりをしていることから、恐らく野良猫を保護したのが始まりと考えられる。
  2. 当事者は猫の一覧表を自作しており、その情報によると、飼い始めてから5年ほどで多頭飼育崩壊状態に陥ったと思われる。最初に飼い始めた猫は2頭(4歳のオス・メス)で、現在の飼育頭数は室内の17頭と、室内外を自由に出入りする7頭で計24頭と推測。5年の間に子猫が亡くなる事例は複数あったと思われる。
  3. 既に家を出ている当事者の娘から相談を受けた動物愛護団体が保健所に連絡したことから発覚。
  4. 早期に不妊手術をしなければ来春にさらに頭数が増え、当事者だけではなく猫の生活状況も悪化する。早急に繁殖制限を行うよう指導したが、当事者は経済的に困窮しており不妊手術費用が捻出できない。また、当事者は猫を手放す意思がなく、今のままではさらに状況が悪化するため申請を決定。
  5. 一部の猫が室内外を行き来していたこと、外での餌やりを行っていたこと等から、総数24頭と予測して申請するも実際には18頭だった。全18頭を一斉に捕獲し同日中に全頭の手術が完了。病気(腫瘍)が見つかった1頭は、ボランティア団体が動物病院へ連れて行き処置を行っている。
  6. ボランティア団体の協力を経て飼育環境は改善しており、今後もボランティア団体のアドバイスを受けながら、当事者が18頭の猫を飼育していく。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月23日 6 12 0 18
6 12 0 18

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者が不妊手術の重要性を認識していればこのような事態にはならない。不妊手術の重要性について、周知啓発が未だ不十分と感じた。


どうぶつ基金スタッフコメント
本件の当事者は猫のリストを作成するなど他のケースとは異なる面が見られますが、猫への愛情というよりは執着に近い感じを受けました。今後も猫を手放す気はなく、飼育頭数を減らすことも考えていないことから、今回の支援によって全頭手術済みとなり今後の繁殖を防止できたことは本当によかったと思います。また、ボランティア団体によって病気(腫瘍)の1頭に医療処置が行われたことも幸いでした。
今の日本では誰でも犬や猫を飼うことができます。彼らに注ぐ愛情がなくても、彼らにかけるお金がなくても、彼らに費やす時間がなくても「飼えてしまう」のです。これは大きな問題点であり、動物取扱業者と同じように一般の飼い主のモラルも問われています。これから飼う人・すでに飼っている人のなかで、動物愛護法を読んだことがある人はどの程度いるでしょうか。動物愛護法は「キホンのキ」です。彼らとともに暮らすのであれば、必ず読んでいただきたいと思います。


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