61_茨城県かすみがうら市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.61
申請日:2023年1月30日
申請/実施責任者:かすみがうら市 環境保全課
場所:茨城県 かすみがうら市
居住者:当事者本人(69歳、女、無職)、夫(71歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:18頭(20頭で申請するも実際は18頭と判明)
手術日:2月7日
協力病院:茨城さくらねこクリニック
チケット発行数:20枚
手術頭数:12頭(支援実施前に6頭を譲渡し、2頭は数え誤りだった)
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 2~3年ほど前に野良猫が当事者宅の物置で子猫を産んだ。親猫がどこかへ行ってしまったため、残された子猫4頭を室内に入れて餌をあげはじめた。
- 未手術の状態で室内外を行き来させていたことから頭数が増え始め、他の野良猫も家に入ってくるようになってしまった。
- 社会福祉協議会の居宅介護支援員からの相談により多頭飼育状態が発覚。
- 飼育方法を指導して不妊手術をするよう勧めたが、夫は介護が必要な状態で当事者本人も足が悪い。また、当事者には事故歴があって猫を運搬することが難しく改善されなかった。
- 当事者の経済的な事情も考慮し、猫がこれ以上増える前に支援が必要との判断に至る。
- いたずらや排泄によって散らかっていた室内は掃除され、別棟の物置に餌場や猫用トイレを設置したことによって臭いもなくなった。庭から出ないようにはしているが猫たちの行動範囲は広がり、術後は猫同士のケンカも減少した。
- 当初20頭で申請していたが実際は18頭だった。うち子猫6頭は東京の個人ボランティアが保護し、ボランティアもしくは譲渡先にて不妊手術予定である。
- 残る12頭は当事者が飼育を継続する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
2月7日 | 4 | 8 | 0 | 12 |
計 | 4 | 8 | 0 | 12 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
社会福祉協議会の担当者からの相談で発覚した多頭飼育ですが、高齢の夫婦に不妊手術を促すも当事者ではどうすることもできずどうぶつ基金の支援を受けました。感謝申し上げます。
手術前日の午前中にボランティアとともに捕獲を開始、当日の朝までに全頭捕獲することができ無事に手術を終え、翌日の午前中に病院へ猫を引き取りに行きました。環境保全課、ボランティア、獣医師の協力があってこそ実施することができました。
現在は12頭が当事者宅に残っていますが、手術をしたことで繁殖の心配もなくなりました。当事者の姪っ子さんも応援にきて掃除等を手伝ってくれ、トイレや餌場を物置へ設置したことによって家の中も片付きました。猫の頭数が正確に把握できなかったことが反省点です。
どうぶつ基金スタッフコメント
多頭飼育に陥るまで数年、あっという間に18頭になっていました。母猫が見捨てたのか、それとも帰ってこられなくなったのかは分かりませんが、物置に残された子猫を当事者は放っておけなかったのでしょう。不妊手術をしなければ、優しい気持ちから始まった猫の飼育がたった数年でこのような状態になってしまうのです。
本件では、福祉部門からの相談が支援に結び付きました。はっきりとした統計はありませんが、多頭飼育崩壊は高齢者世帯でより多く起きているという実感があります。福祉部門とうまく連携ができれば、予備軍のうちに発見することも可能でしょう。官民協働と同じくらい、行政内での他部署との連携が求められます。