猫の餌やりは悪?
「エサやり禁止」は猫問題をかえって悪化させます。
野良猫(飼い主のいない猫)への餌やりは悪という認識のもとで、“無責任な餌やり”と言われることがあります。
放置された餌、投げ餌、後片付けをしないなど、迷惑をかける餌やりはよくありません。
でも、ノラ猫だって生き物です。食べていかなければなりません。
エサをもらえなくなったノラ猫はゴミ箱をあさったりして迷惑をかける可能性が高まります。
また、飼い主のいない猫を捕獲して不妊手術をするTNR活動を進めるには、普段からエサをあげて猫の頭数や健康状態を把握しておくことが必要です。
このような理由からノラ猫へのエサやり禁止は猫問題をかえって悪化させます。
「餌やり禁止!」というよりも「エサやりマナーを守ってください」と広報するのが正しいと言えます。
<弁護士・細川敦史さんの話> 野良猫に餌をやること自体を禁止する法律はありません。むしろ猫は、所有者の有無にかかわらず動物愛護法上、虐待や遺棄から守られるべき存在です。猫を大切に思う気持ちからの餌やりは、法律の趣旨に合致する行為と言えます。(朝日新聞 sippoより抜粋)
不妊手術をしない餌やりさんは悪なのか?
エサやりさんが不妊手術もしてくれるのは理想的ですが、エサをやった責任として不妊手術を義務付けるべきではありません。
じっさい不妊手術はとても高額で対応しきれない現状があるからです。ノラ猫が増えるのはエサやりさんのせいではありません。猫を遺棄した人間が原因です。
そもそも、猫を捨てることは、
「動物の愛護及び管理に関する法律」44条3 愛護動物を遺棄・虐待した場合
愛護動物を遺棄した者→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
とありますが、検挙された例はあまり聞きません。
まずは、ノラ猫のもとを作り上げている遺棄した人間の取り締まりが重要です。
次にノラ猫の不妊手術(TNR)ですが、これだけ社会問題に発展してきた現状を見据えると、行政やどうぶつ基金がもっと頑張らなければならない事なのです。
そこで、どうぶつ基金は、通常の餌やりと差別化を図るためにも“無責任な餌やり”ではなく、“マナーを守らない餌やり”と呼ぶことにしました。
「さくらねこTNR」の成功のカギは、マナーやルールを守った餌やりです。
「さくらねこTNR活動」を進めるためには、その地域にいる猫の頭数などを把握し、決まった時間と場所で餌を与えて人間にある程度近づかせる必要があります。同時に、エサのあとかたづけなど、ご近所に迷惑をかけないようにすることも重要です。しかしながら、所かまわず餌の放置や投げ餌をする“マナーを守らない迷惑な餌やり”によって、きちんと“マナーを守った餌やり”がしにくくなっています。
「片づけは、猫にはできニャイ」だからマナーを守った餌やりを!
猫たちは自分で片付けできないので、どうぶつ基金の啓発ポスター等でトラブルの原因となる食べ残しの清掃などをお願いしています。そうした“マナーを守った餌やり”からはじめる「TNR先行型地域猫活動」を続けることにより、飼い主のいない猫の数は減少し、野良猫トラブルも減っていくものと考えています。これ以上不幸な猫を増やさないためにも、皆さまのご理解とご協力をお願いします。
※どうぶつ基金はポスターやチラシ等資料の提供も行っています。
https://www.doubutukikin.or.jp/gallary/illust/
報告 : この作品を使用する場合は、公益財団法人どうぶつ基金に報告しなければなりません。
ご協力をお願いいたします。