沖縄県センター 地域猫以外のノラ猫の無料不妊手術 4年ぶり再開へ

公益財団法人どうぶつ基金(所在地:兵庫県芦屋市、理事長:佐上邦久)は、一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーる(所在地:沖縄県那覇市、代表理事:畑井モト子)や沖縄県下の各市町村と連名で「沖縄県動物愛護管理センターによる野良猫の無料不妊手術の再開」に関する要望書を6月20日に提出していました。その後の意見交換を経て、沖縄県動物愛護管理センターで地域猫以外の野良猫の無料不妊手術を4年ぶりに再開するとの正式回答が出されました。どうぶつ基金の佐上理事長は「これまで沖縄県の飼い主不明猫の無料不妊手術はどうぶつ基金が年間約5000頭行ってきたが、せめて県で半数の2500頭は担ってほしい」と感想を述べました。

6月20日、玉城デ二―沖縄県知事を訪問し、要望書を手渡しました。6月20日、玉城デ二―沖縄県知事を訪問し、要望書を手渡しました。

2022年6月20日、公益財団法人どうぶつ基金は、一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーるとともに沖縄県庁を訪問。殺処分制度の廃止を公約に掲げる玉城デニー沖縄県知事に、沖縄県動物愛護管理センターでの野良猫の無料不妊手術の再開を求める要望書を提出しました。

――以下、要請書内容ーーーーー​
野良猫の避妊・去勢手術の実施に関する要望 

沖縄県動物愛護管理センターにおいて野良猫の不妊・去勢手術の実施を通常業務の一環として再開して頂きたい

猫は繁殖力が強く特に温暖な沖縄では、少なくとも年3回程度、1回の出産で4~7頭の子猫を産み、その子猫も半年もすれば妊娠可能になります。
環境省によれば1匹のメス猫が3年後には2千頭以上になると試算しています。

これらのことから、野良猫の数を減らすには、いかに出産数を減らすかがポイントになっていることは明らかです。そして出産数を減らす最も現実的・効果的な方法はメスに対する不妊手術、オスに対する去勢の実施となります。

現在、この考え方に基づく野良猫対策は日本全国に広まり、各地の動物愛護団体や市町村や市民が、野良猫を捕獲して(T=trap)、不妊手術を施し(N=neuter)、元の場所に戻す(R=return)という通称「TNR活動」を実施しています。
それら団体の中でも、私たちが全面的な協力をお願いしているのが「公益財団法人どうぶつ基金」です。
同団体による全国でのTNRの実施件数は群を抜いており、本県での実施件数も、2012年2月より2020年まで8年間で13,542頭に上り、沖縄県における野良猫の個体数の抑制に極めて大きく貢献しております。
一方、この活動には行政にもご理解ご協力を頂いた実績がございます。

たとえば、2017年度には沖縄県動物愛護管理センターにて128頭の野良猫の不妊・去勢手術(以下「手術」と言う)を施して頂きました。また、2018年に「飼い主のいない猫(野良猫)の対策に関する請願」を県議会に提出した際には、当時の環境部大浜部長より「TNR活動に対し沖縄県動物愛護管理センターや人員が可能な限り協力していく」とのご回答を頂いています。
しかしながら2018年4月以降、それまで行われてきたTNR活動への協力が閉ざされてしまったことは大変残念に思っております。

沖縄県動物愛護管理センターによると、手術に関する支援は、県が認証する地域猫活動(地域住民が責任をもって地域の野良猫への餌やり、清掃、糞便処理や不妊去勢手術を実施する取り組み)にのみ行うスタンスであるとのことでした。
しかし、沖縄県が認証した地域猫活動は、2013年度から9年間で本島内において2箇所しか存在しません。この結果は、地域猫活動の実施がいかに困難で非現実的なハードルの高い目標であるかを裏付けた結果と言えるのではないでしょうか。

一方で、地域猫活動が困難である県内の多くの市町村は 、公益財団法人どうぶつ基金に対しTNRを希望する市町村として登録し、無料手術チケットの配布を申請し、配布されたチケットで市民や愛護団体、自治会等と協働し野良猫の手術を実施しております。

現在、沖縄本26市町村中、やんばる3村を除く22の市町村が 公益財団法人どうぶつ基金への登録を済ませて無料手術チケットの配布を受け、このチケットにより県内にあるどうぶつ基金の協力病院で野良猫の手術を実施しています。

また中核市である那覇市は市独自で手術を実施していますが、それだけでは、とても間に合わず、今月中にどうぶつ基金に登録を行い8月から無料チケットの配布を受けることが、先日の市議会で確認されました。
新たに加わる那覇市を含む本島23市町村の県民人口は、本島人口の99%以上にあたります。県民がいかに野良猫の問題に苦慮し、効果のある対策としてTNR活動の実施を希望しているかを示しています。

しかしながら近年、あまりに手術を希望する数が増えたため協力病院での手術の実施が追い付かない状況です。このままでは野良猫が増えることが起因となり、あちこちで虐待や住民トラブル等が増えるのではないかと大変危惧しております。
この状況を打開するためには、行政における手術の実施が不可欠です。

つきましては、我々のTNR活動の趣旨をご理解頂き、沖縄県動物愛護管理センターにおいて野良猫の手術の即時再開を強く要望致します。
―――――――――――――――
<連名した市町村> ※五十音順

伊江村/糸満市/嘉手納町/北中城村/宜野座村/中城村/南城市/南風原町/本部町/八重瀬町/与那原町/読谷村/名護市阿部区/名護市嘉陽区公民館/沖縄県総合運動公園管理事務所

↓詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください。
「沖縄県、実態なき地域猫活動にメス、玉城デニー知事に要望書提出」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000033795.html

その後、現地関係者との意見交換を経て、8月5日付で沖縄県から正式に回答がありました。

【回答内容抜粋】

県は、今年度から、飼い主のいない猫対策として、次のとおり取り組むこととする。

  1. 動物愛護管理センターは、「動物愛護管理センター犬又は猫の不妊去勢手術取扱要領」に基づき、モデル地域以外の飼い主のいない猫について、可能な範囲で非常勤獣医師による不妊去勢手術を実施する。
  2. 自然保護課は、飼い主のいない猫に係る地域の課題を調査・集約し、その結果を市町村と共有する。

沖縄県は2012年から「地域猫活動」に取り組んでいますが、県が定めた地域猫のハードルがあまりにも高く、申請基準を満たすことは至難です。2018年にモデル地域として2カ所が選ばれたものの、この制度による沖縄県動物愛護センターでの不妊手術はたった100頭余りでした。

今回の沖縄県への要望書提出によって、これまで中止されていた「モデル地域(地域猫)」以外の野良猫についても沖縄県動物愛護センターでの不妊手術を再開するという回答を得られたことは大きな成果であり、今後の沖縄県の飼い主のいない猫対策の進展が期待できます。

これまで沖縄県下で行われてきた野良猫の無料不妊手術の98%が、公益財団法人どうぶつ基金によるものです。しかし、近年は無料不妊手術チケットの申請が許容量をはるかに超え、各市町村やボランティアの希望どおりにチケットを配分することが難しくなっています。

そのような状況のなか、沖縄県内で活動する一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーる、そして要望書に名を連ねた沖縄県下の各市町村との協働によって、県行政に何とか風穴を開けることができました。この風穴が決して閉じることのないよう、今後も沖縄県、県下の各市町村、ボランティアとともに今後も精力的に活動してまいります。

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